アールデコ建築と言えば、ニューヨークのクライスラー・ビルディング、エンパイヤーステイト・ビルディング、ロックフェラー・センター、またマイアミビーチのホテル街などが有名です。でも実は、アールデコ建築の最も華麗な成果と言われているビルがバンクーバーにあるのです。それが、ダウンタウンのバラード通りとヘイスティング通りの角に立つマリーンビルディング(355 Burrard St)です。
完成したのは1930年で、設計はMcCarter Nairne & Partners社。高さは97.8mですが、建設当時は大英帝国の中で高層のビルとして生まれました。もちろん、クライスラー・ビルディングは319mもありますから、高さではニューヨークのビルと比べものになりませんが、その外壁の飾りや内装のゴージャスさでは、十分に「女王」の貫禄があります。マリーンビルディングは、1980年代に大がかりな改装が行われましたが、入り口部分の装飾や床、ドア、エレベーターなどは、30年代のままに保存されており、アールデコの粋をかつての輝きそのままに見ることができるのです。
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| 海をモチーフにしたエントランス |
エジプトを思わせる不思議なモチーフ |
アールデコは過剰なまでの装飾性と、エジプトや星占いなどのモチーフを多用した一種独特の雰囲気があります。マリーンビルディングは、その名前のように海上保険会社のビルとして建てられたものですし、30年代のバンクーバーは貿易港として発展している都市でしたから、建物のモチーフは海に関係したものが中心になっています。エントランスは海鳥や魚をモチーフにした飾り彫刻で彩られています。二階まで吹き抜けになったロビーも大型木造船の船内を思わせるデザイン。でも、細かく見ていくと、不思議なデザインがあちこちにあるのです。入り口にはエジプトの神殿に刻まれているような鳥が羽を広げていますし、ロビーの床には大きな12星座のシンボルが。どことなくオカルトっぽい雰囲気です。壁には大きなクジラに追いかけられているバイキングの船が彫刻されていますが、そのクジラがとても嬉しそうに大きな口を開けているんです!エレベーターのドアもゴージャス。内部はいかにもアールデコという感じの寄せ木細工のデザインです。
ビルの上階は、近代的に改装されてしまっていますので、1930年代の雰囲気はほとんど感じられませんが、ロビーや外装を細かく見ていくと時間がたつのを忘れてしまいます。外壁には、飛行船や列車、船など、交通関係のモチーフと、タツノオトシゴやトビウオ、海藻などの海の生物をモチーフにしたパネルが嵌め込まれていますから、小さな双眼鏡などを持ってじっくり鑑賞しましょう。 |