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広大な大地に生きる多様な人々
  多様文化の美しいモザイクを目指して
  輝く理想、でも現実は?
  私は「系」のつかないカナダ人

広大な大地に生きる多様な人々

 カナダで売られている商品の表示や解説は公用語である英語とフランス語の両方が併記されています。でも、街角の看板には漢字やハングル、ヒンズー語などの表示もいっぱい。バンクーバーの空港ではファースト・ネーションの人々の工芸作品が出迎えてくれますし、大平原地帯の麦畑の間には東方教会の丸い屋根があちこちに建っています。ケベック州のオルレアン島では、フランスの18世紀の方言がまだ強く残っていますし、ニューファウンドランド州の漁師さんたちは、アイルランドの伝統的な音楽が大好き。
 1万5千年以上の歴史を持つファースト・ネーションの人々から、今日アジアから移民してきたばかりの家族まで、カナダには様々な人種的、文化的背景を持った人々が暮らしています。こうした複雑な状況にどのように対応して調和のとれた「カナダ」を発展させていくかは大きな問題です。様々な試行錯誤の末、カナダが1970年代にたどりついた結論は、「多様文化こそカナダの伝統、カナダらしさだ」という道を選ぶことでした。

大平原地帯に住むファースト・ネーションの少年 犬ぞりを楽しむケベックの少女
大平原地帯に住むファースト・ネーションの少年 犬ぞりを楽しむケベックの少女
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多様文化の美しいモザイクを目指して

 カナダに暮らす人々それぞれの民族や文化の「色彩」を大切にしつつ、それが集まってできる一枚の大きな「モザイク画」を目指すのが、カナダの多様文化主義です。この方針は、あらゆる文化を「坩堝」に溶かし込んで、「アメリカ」というものを生み出そうとする米国の方針と根本的に考え方が違います。
 カナダの憲法には「権利と自由の憲章」があり、民族的、文化的な背景にかかわらず、国民の誰もが平等の権利を持つことが保証されています。この憲法に基づいて、1988年には「多様文化主義法」が施行され、言語教育をはじめとする各種の政策が実行されはじめました。

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輝く理想、でも現実は?

 もちろん法律だけで理想的な「モザイク画」が描けるわけではありません。現実には英語ができなければ就職もおぼつきませんし、経済的にも政治的にもいまだに「英国流」が主流なのを否定することはできないでしょう。フランス語を使う人が多いケベック州民が独立を口にするのも、「自分達の文化を守るには独立しかない!」という危機感があるからだと思います。
 さらには、テレビなどのメディアを通して、圧倒的なパワーで毎日雨のようにふりそそぐ「アメリカ文化」に対して、自分達らしさを守らなければならないのもカナダ人のつらいところです。“ I am Canadian !” と叫ぶ、「カナディアン」という名のビールのコマーシャルが大人気なのも、そんな気持ちを代弁しているからかもしれませんね。

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私は「系」のつかないカナダ人

 1996年の国勢調査の時、自分の民族的背景を訪ねる質問に「英国系」と答えた人は17%、「フランス系」と答えた人は9%でした。そして、どの「系」も付けず、「私はカナダ人」と答えた人が19%いました。民族的背景の違う人同士の結婚は普通のことになっていますから、「系」の付かないカナダ人はこれからも増え続けるでしょう。「モザイク画」の未来はまだまだ予測がつきません。

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